麻を績み、蝋で描き、藍に沈める。山の民の布
北部の山あいで、モン族の女性たちが麻から糸をつくり、蜜蝋で模様を描いて藍に染めてきた布。ハノイの店で出会える、時間をたっぷり含んだ手仕事です。
どこで生まれた?
ベトナム北部の山岳地帯には、モン族やザオ族など、さまざまな少数民族が暮らしています。なかでもモン族の布づくりは、畑で麻(ベトナム語でラン)を育てるところから始まります。刈り取った茎から繊維を取り出し、手でつないで長い糸にし、蒸したり煮たりしてやわらかくしてから織り上げます。一枚の布を織るのに何日も、ときには何週間もかかるといいます。
織った布には、溶かした蜜蝋で模様を描き、藍の液に浸しては日に干すことを何度もくり返します。蝋を置いたところだけ染まらずに残り、最後に蝋を落とすと、藍の地に白い模様が浮かび上がります。模様には山や水、草木、暮らしに根ざした祈りのしるしが込められているそうです。刺繍や色布を縫いつけるアップリケも、地域や民族ごとに違う模様で受け継がれてきました。こうした少数民族の手織りの布は、まとめて「トーカム(thổ cẩm)」とも呼ばれます。
見分け方・選び方
手織りの麻布は、張りのある、少しざらりとした手ざわり。織り目や布の端にわずかな揺らぎがあるのが手仕事らしさです。藍染めは一枚ずつ色の濃さが違い、蝋で描いた線も少しずつにじみ方が異なります。ストールやポーチ、コースターなど小さなものから始めると、旅の荷物にもなりにくく、毎日の暮らしにもなじみます。
旅先での買い方・持ち帰り方
ハノイでは文廟(Văn Miếu)のまわりや旧市街に、少数民族の布を扱う店が集まっています。作り手の村と直接つながる店では、誰がどこで作ったかを教えてくれることもあり、品えらびがぐっと楽しくなります。天然の藍染めは、はじめのうち色が移ることがあるので、最初の何回かはほかのものと分けて手洗いを。布ものは軽く、たためばすき間に入るので、器と一緒に買ったときの緩衝材がわりにもなります。
この物語の品に出会える店
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