青い線一本に、南部の暮らしが見える。ソンベ焼
ホーチミンの器屋さんでよく出会う、藍色の線とのびやかな花の絵。南部ビンズオンの窯場で、毎日の食卓のために焼かれてきた器の話です。
どこで生まれた?
ホーチミン中心部から北へ向かうと、ビンズオンの町並みが広がります。川沿いでとれる粘りのある粘土と、窯をたく薪に恵まれたこの土地には、ライティウ、タンフオックカイン、チャインギアといった焼きものの村があり、中国から渡ってきた職人の技を受け継ぎながら陶業が根づいてきました。始まりの時期には諸説ありますが、19世紀の終わりから20世紀の初めにかけて大きく育ったといわれます。
「ソンベ」は、1976年から1997年の初めまでこの一帯にあったソンベ省の名前です。日本ではこの土地の素朴な日用の器を、親しみを込めてソンベ焼と呼ぶようになったといわれます。ビンズオンは2025年からホーチミン市の一部になりましたが、器の名前としてのソンベは今も生きています。
見分け方・選び方
特徴は、少し黄みを帯びたやわらかな白の生地に、筆でさっと引いた藍色の線や、数筆で描いた花や鳥。手描きなので、線の太さや絵のにじみが一枚ごとに違います。同じ柄を重ねて並べ、いちばん好きな表情を選ぶのが楽しい時間です。
いま店に並ぶのは、昔の器の柄を受け継いだ新作と、数十年前のヴィンテージの両方。新作には電子レンジや食洗機に対応したものもあるので、毎日使うなら新作、飾ったり特別な日に使ったりするなら古い器、と使い分けるのもおすすめです。
旅先での買い方・持ち帰り方
小皿や豆皿は手頃な値段のものが多く、まとめ買いに向いています。選ぶときは縁を指でなぞって欠けがないか、裏返して底がぐらつかないかを確かめましょう。持ち帰りは、店で紙に包んでもらったうえで、衣類に挟んでスーツケースの中央へ。重ねる枚数を少なめにすると割れにくくなります。
この物語の品に出会える店
- ベンタイン市場周辺 営業確認済
ít ít Việt Nam Bến Thành (it it Vietnam)
金継ぎ風のソンベ焼破片ピアス・イヤリング(一点もの)、ビアホイグラス200ml、竹ハンドルバッグ
ほかの読みもの
- 読みもの
藍の筆あとに、川べりの村の時間が流れる。バッチャン焼
ハノイの旧市街で見かける、花や草を藍で描いたマグや豆皿。紅河のほとりの小さな村で、何百年も焼きものを続けてきた職人たちの器です。
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塗っては研ぐ、その繰り返しが光になる。ベトナムの漆
つややかな黒や朱に、卵の殻や貝がきらりと光る小箱やトレイ。木の樹液を何度も塗り重ね、研ぎ出してつくるベトナムの漆、ソンマイの話です。
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麻を績み、蝋で描き、藍に沈める。山の民の布
北部の山あいで、モン族の女性たちが麻から糸をつくり、蜜蝋で模様を描いて藍に染めてきた布。ハノイの店で出会える、時間をたっぷり含んだ手仕事です。
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木の皮から生まれた紙に、春を刷る。ゾー紙とドンホー版画
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赤や緑で雄鶏とバナナの葉を描いた、南部の古い茶碗。ライティウ焼の歩みと、ホーチミンでヴィンテージの器を選ぶときに知っておきたいことをまとめました。
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