藍の筆あとに、川べりの村の時間が流れる。バッチャン焼
ハノイの旧市街で見かける、花や草を藍で描いたマグや豆皿。紅河のほとりの小さな村で、何百年も焼きものを続けてきた職人たちの器です。
どこで生まれた?
バッチャンは、ハノイ中心部から紅河を渡った先にある焼きものの村です。この村で器づくりが始まったのは李朝の時代とも14世紀ごろとも伝えられ、はっきりした年代はわかっていません。15世紀には村の器が国内に広まり、16〜17世紀には海外へも運ばれるようになったといわれます。
器のもとになるのは、近くの村でとれる粘土と、白い陶土(カオリン)。ろくろで形をつくり、絵付けをして釉薬をかけ、窯で焼き上げます。村には「一に素地、二に釉、三に窯の火」という意味の言いならわしがあり、土と釉と火のどれも欠かせないことを教えています。今も村には工房や器の店が並び、陶芸体験ができる工房もあります。
見分け方・選び方
バッチャン焼といえば、白地に藍色で絵を描いた器が有名ですが、ほかにも、表面に細かなひびの模様が入る貫入の器、深い茶色の器、苔のような緑の器など、さまざまな釉薬の色があります。藍の絵付けは、筆の強弱で線が太くなったり細くなったりするのが手描きのしるし。きっちりそろった柄より、少し揺らいだ線のほうに、描いた人の手の動きが見えてきます。
旧市街の器の店では、伝統の柄から、淡い色の釉薬を使った今の暮らしに合うデザインまで並びます。同じ柄でもひとつずつ表情が違うので、マグや豆皿は何個か手に取って見比べてみてください。
旅先での買い方・持ち帰り方
ハノイの旧市街には、バッチャン焼を専門に扱う店がいくつもあり、歩いて見比べられます。時間があれば村まで足をのばし、工房を見たり、自分で器をつくったりするのも思い出になります。器は重さがあるので、たくさん買うときは店で丈夫に包んでもらい、衣類にくるんでスーツケースへ。マグは取っ手が欠けやすいので、取っ手のまわりにもタオルを詰めると安心です。
この物語の品に出会える店
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